トップに戻る 2019年に登った山リストへ戻る 山名アイウエオ順
午前7時過ぎに起床しエメラルドグリーンのタモンビーチを散策、今日は快晴という感じで登山中に眺める景色も映えそうだ。隣のデシュタニホテル1階のロビーに9時40分集合、Mさんが迎えに来た。今日は他に女性2名が一緒で、合計3名での登山。なお、この2名はこの登山後、セスナに乗り込みグアムの空中散歩をするそうだ。限られた滞在時間を有効に使っている。
さて、車に乗り込み本日のコース概要と注意書きを読み、署名をして参加手続きは終了。Mさんはとても日本語が流ちょうな方で、グアムのことについて色々な説明を受けた。進行方向右側に青い海を見ながら南下し、昨日の半日観光で眺めた太平洋戦争記念公園、フイッシュアイ海中展望公園等を過ごし、やがて海軍基地前を通過した。
海沿いを離れ少し高度を上げたかと思うと左上の丘に十字架が立っていた。これが本日向かうフムジョンマングロ山だろう。右側に駐車スペースがあり、ここに車を駐めたのでここが登山口になるようだ。ホテルからここまで約40分の行程だった。海側にはセッティ湾展望台があった。
展望台の解説には、セッティ湾とその背景にある高さ300m程の丘陵地帯がグアムの海岸公園の一部となっている。この辺りは、グアム南部火山地帯の噴火の歴史を知る上で重要な役割を果たし、地理学者にとって興味深い場所である。アナリッグ・アチョ(黒い岩)と呼ばれる双子のように並んだ丘は古代噴火時に海中で形成された枕状溶岩の例である。遙か南マレッソの先にはココス島が眺められる。
海岸には3000年もの間チャモロ人達が住んでいた。ラッテストーンや陶器のかけらがそれを物語っている。アガニアからセッティ湾を通ってウマタックまで南下する海岸線の道路がスペイン人によって造られた。セッティ湾へ下る坂道は草原やサバンナの中を通り、周りには椰子の木が生育し、峡谷があり、セッティ湾がひっそり隠れている。セッティ湾はグアム及び合衆国の史跡に指定されていると、説明されていた。
9時34分に登山口を出発、木の横には白い十字架が置かれており「T」と書かれていた。これはフムジョンマングロ山まで続く指導標である。周囲にはススキのような背の高い草が多い。この葉は素手で触ると切れてしまうので、早速軍手が必要である。配給された軍手は赤いゴムが手のひらに塗ってあり滑りにくくなっていた。私は日本から持ってきたいつもの軍手を装着、結局いつものスタイルと変わらない。
ただし、草の背丈が高く、Mさんは長袖の方が良いというので持参した長袖を着たがとても暑い。登山口から少し進んだところでセッティ湾とその先に見えるココス島をしばらく眺めた。周囲にはピンクの蘭が咲いており、自然豊かな島であることが解る。こんな道路の近くで野生の蘭が咲いていても、誰も盗らないのだろう。
少し進むとUの十字架が置かれていた。この先からは足下に赤土が目立ち、昨日夜に降った雨によりとても滑る。途中で犬を連れた一団と出会うがみんな軽装である。強風の中、帽子を飛ばされないよう進んでいると西に十字架の立つフムジョンマングロ山が近く見える。
周囲の開けたところから森の中に入ると急に足下が見えにくくなり、更に注意が必要だ。ススキの背が高くなるので注意しながら進み、次の十字架を通過、ここにはXと書かれていた。赤土を踏みながら進むとYの十字架を通過、少しずつ森の奥へ進んでいることが解る。大きな木の横を通過するとZの十字架、ここまで大した傾斜は無く、海が美しい。
足下が赤土から解放されたと思ったら、すぐに赤土が復活。少し坂を感じる場所を過ごせば[の十字架に着いた。更に\の十字架まで来ると、フムジョンマングロ山がすぐ近くにそびえている。ココス島を見晴らす展望地で]の十字架を過ごすとこの先で根が地上に浮いたような植物の側を通る。この葉の周囲は鋭利になっているため、肌に触れないよう注意を受けた。
マリア像を過ごすと広い草原が広がり、とても気持ちの良い登山道に戻った。周囲に可憐な蘭の花を眺めながら進み、坂の傾斜も緩やか、快適な登山道を堪能している。やがてラムラム山とフムジョンマングロ山分岐の十字架に着いた。この分岐は左(北)がラムラム山、右(南)がフムジョンマングロ山である。登山口からは35分の行程である。
小休止の後フムジョンマングロ山へ向かって分岐を右にとり、前方に見えるなだらかな丘へ向かう。風が強くススキが風に吹かれて前に進む同行者が見えなくなっている。このフムジョンマングロ山は「風の吹く丘」とも呼ばれており、確かに強風の吹く場所のようだ。
足下に滑り易い赤土の露出した場所を通過、緩やかな傾斜の登山道を淡々と進む。そして分岐からわずか5分で十字架の立ち並ぶフムジョンマングロ山へ到着した。山頂に並ぶ十字架は毎年一つずつ増えているそうだが、台風で飛ばされることもあるらしい。山頂には300年クロス、MANGLOと書かれたプレートが置かれていた。
この山はカトリック信者にとっては聖山で、十字架を担いでゴルゴダの丘を上がったイエスを真似て、毎年、復活祭の早朝に信者が十字架を担いで登る。登山口から続く十字架はその道しるべとなっている。頂上の石の十字架は1980年代に設置され、木造の十字架は毎年、復活祭に担いで上げられたものである。
山頂に立てば台風により飛ばされたり、歳月を積み重ねて朽ちてしまった十字架も見受けられる。周囲にススキの原が美しく、なんと言っても十字架越しに広がる海が素晴らしい。時の経つのも忘れて周囲に広がる展望を眺める。次に向かうラムラム山は北北西に見えるはずで、大きな木の左側にそびえる山脈の中だろう。山頂で小休止の後、緩やかな傾斜を下り、先程の十字架の立つ分岐まで引き返した。
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